学生の声VOICE

解決策を求めて参加したマッチングワークショップで共同研究に

邉木薗 慧(へきぞの・あきら)さん

環境・社会理工学院 土木・環境工学系 土木工学コース 博士後期課程
参加したワークショップ:2019年(参加当時 修士2年)

<プロフィール>
1995年生まれ、鹿児島県出身。2018年鹿児島大学工学部海洋土木工学科早期卒業、2020年環境・社会理工学院土木・環境工学系土木工学コース修士課程修了。現在、環境・社会理工学院土木・環境工学系土木工学コース博士後期課程3年生。
<研究テーマ>
鉄筋コンクリート構造物の電気防食に関する研究

  • マッチングワークショップ
  • 共同研究
  • インターンシップ
  • SSS登録生

マッチングワークショップで異分野の研究との共通点を発見

私がマッチングワークショップに参加した理由は2つありました。ひとつは超スマート社会卓越教育院の参加要件だったこと、もうひとつは研究で直面していた問題点の解決策に出会えないかと思ったことです。
私は鉄筋コンクリート構造物の電気防食(※)を専門としており、コンクリート内部の電気防食電流を可視化する手段を模索していました。QST(量子科学技術研究開発機構)が脳に流れる電流を、磁場をもとに測定するセンサの話をされていたのを聞き、脳とコンクリートにおける測定環境としての類似性や、十分なセンサ性能の高さから、土木の分野にも応用できるのではないかと考え、お声掛けしました。
その後、QSTでのインターンシップを経て共同研究を行うことになりました。QSTとしても測定に使うダイヤモンドセンサの応用先を探していたと聞き、お互いに必要としていたためにうまく話が進んだのではないかと感じています。

※構造物の表面に設置した陽極からコンクリート内部の鉄筋に電流を流すことで、鉄筋の腐食を抑制できる技術

発表に自分の悩みを付け加える一工夫 ~意見や感想をもらいやすく~

マッチングワークショップでは、大学側はシーズ側、つまり持っている技術を提供する側となるため、研究内容や、それによって何ができるのかという発表が多くなりますが、私はそこに、研究に関して考えていることや悩みなどを加えました。自分の悩みを入れることで、発表を聞いた方に一緒に考えていただいたり、意見や感想をもらったりしやすくなると考えたためです。

これからSSSマッチングワークショップに参加する学生へ

多くのメリットが得られるチャンス、気楽に参加を

東工大は学内での異分野交流が活発なほうだと思いますが、それでも、自分自身、教授陣や企業・研究機関の研究員、他の分野の方などと話をしたり、意見をもらえたりする機会はそれほどありませんでした。
マッチングワークショップの資料作成は、学会発表や研究室ゼミでの発表に使っている資料を使えばそれほど手間がかかるものではないと思います。
教授レベル、また、他の分野の方々から意見をもらえるなど、多くのメリットが感じられる機会だと思います。少しでも興味があるなら、気楽に参加してみるといいのではないでしょうか。

指導教員からのメッセージ

邉木薗くんは、修士課程入学以降、一貫して、コンクリート構造物の電気防食の高度化に関する研究に取り組んでいます。電気防食は、コンクリート構造物といったインフラの長寿命化に資する有効な技術であり、今後さらなる適用拡大が期待されています。しかし、コンクリート中をどのように電気防食電流が流れているかが明らかでないため、技術の高度化のための検討が必ずしも進んでいません。そこで、邉木薗くんは、コンクリート中の電流分布を可視化できる技術を探していました。そのとき、マッチングワークショップでQSTさんのダイヤモンドセンサの技術に巡り合って、研究を飛躍的に発展させるための糸口を見つけることができました。
(環境社会理工学院 教授 岩波 光保)

参加機関からのメッセージ

邉木薗さんにとって全く異なる分野である「量子技術センシング」に興味を持ち、自分の課題解決のために飛び込んできた姿勢は素晴らしいと思います。邉木薗さんの場合、目的をもって来てくれたので、解決に向け何をするか色々と議論でき、楽しい時間を過ごせました。本人にとっては上手くいかないこともあったりで、楽しいだけではなかったかとは思いますが...。量子センシングの研究している私たちにとっても、土木という異分野で何に役立つかなど考える機会となり、量子技術の社会実装という観点で色々と学ぶこともありました。今後も挑戦する気持ちを持ち続けてもらい、土木に新しい風を吹き込む研究をしてもらえればと思います。
(量子科学技術研究開発機構 大島氏)

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